百人一首図鑑

100 順徳院

100順徳院ももしきや ふるき軒端のしのぶにも なほあまりある 昔なりけり宮中の古びた軒端に生える忍ぶ草を見るにつけ、忍んでも忍びきれないほど、輝かしかった昔が恋しく思い出される。

099 後鳥羽院

099後鳥羽院人も惜し 人も恨めしあぢきなく 世を思ふゆゑに 物思う身は人が愛しくもあり、恨めしくもある。この世を虚しく思うがゆえに、あれこれと思い悩んでしまう私にとっては。

098 従二位家隆

098従二位家隆風そよぐ ならの小川の夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける風がそよぐ「ならの小川」の夕暮れは、もう秋の気配だが、六月祓(みそぎ)の行事だけが夏である証拠を残している。

097 権中納言定家

097権中納言定家来ぬ人を まつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつついくら待っても来ない人を想い、松帆の浦の夕凪のなかで焼いている藻塩のように、私の身も恋心に焦がれている。

096 入道前太政大臣

096入道前太政大臣花さそふ 嵐の庭の雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり嵐が花を誘って散らす庭は、雪が降っているかのようだ。その中で、花とともに古り(降り)ゆくのは、私の身であったのだ。

095 前大僧正慈円

095前大僧正慈円おほけなく うき世の民におほふかな わが立つ杣に すみ染の袖身の程知らずではあるが、この辛い世の民を包み込みたい。比叡山に住み始めた私のこの墨染の袖で。

094 参議雅経

094参議雅経み吉野の 山の秋風さ夜ふけて ふるさと寒く 衣うつなり吉野の山の秋風が吹き、夜が更けていく。かつての都(吉野)は寒々と、衣を打つ砧(きぬた)の音が響いてくる。

093 鎌倉右大臣

093鎌倉右大臣世の中は 常にもがもな渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしもこの平穏な世の中がずっと続いてほしいものだ。渚を漕いでいく漁師の小舟が、網を引いていく光景がしみじみと心に染みる。

092 二条院讃岐

092二条院讃岐わが袖は 潮干に見えぬ沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし私の袖は、引き潮の時でも海に沈んで見えない沖の石のように、他人は知らないでしょうが、涙に濡れて乾く暇もないのです。

091 後京極摂政前太政大臣

091後京極摂政前太政大臣きりぎりす 鳴くや霜夜のさむしろに 衣かたしき ひとりかも寝むきりぎりすが鳴く霜の降りる寒い夜。むしろに自分の衣の片袖を敷いて、私は今夜も一人で寝るのだろうか。