百人一首図鑑

030 壬生忠岑

030壬生忠岑有明の つれなく見えし別れより 暁ばかり 憂きものはなし有明の月が冷淡に見えたあのお別れ以来、夜明けほど辛く悲しいものはありません。

029 凡河内躬恒

029凡河内躬恒心あてに 折らばや折らむ初霜の 置きまどはせる 白菊の花当て推量でなら折ることもできるだろうか。初霜が降りて霜なのか花なのか見分けがつかなくなっている白菊の花を。

028 源宗于朝臣

028源宗于朝臣山里は 冬ぞ寂しさまさりける 人目も草も かれぬと思へば山里は冬こそ寂しさが募るものだ。訪れる人もいなくなり、草木も枯れてしまうと思うと。

027 中納言兼輔

027中納言兼輔みかの原 わきて流るるいづみ川 いつ見きとてか 恋しかるらむみかの原を分けるように流れる泉川。その名のように、いつ会ったというわけでもないのに、どうしてこんなにあなたのことが恋しいのだろう。

026 貞信公

026貞信公小倉山 峰の紅葉ば心あらば 今一度の みゆき待たなむ小倉山の峰の紅葉よ、もしお前に心があるならば、もう一度天皇がお出ましになるまで散らずに待っていておくれ。

025 三条右大臣

025三条右大臣名にし負はば 逢坂山のさねかづら 人に知られで くるよしもがな「ともに寝る」という名を持つ逢坂山のさね葛をたぐり寄せるように、誰にも知られずあなたに会う方法があればいいのに。

024 菅家

024菅家このたびは 幣も取りあへず手向山 紅葉の錦 神のまにまに今度の旅は急で、お供えの幣(ぬさ)も用意できませんでした。代わりに手向山の美しい紅葉を神の御心のままにお受け取りください。

023 大江千里

023大江千里月見れば ちぢにものこそ悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねど月を見ると、あれこれと数限りなく物悲しく感じられる。私一人だけに訪れた秋ではないのだけれど。

022 文屋康秀

022文屋康秀吹くからに 秋の草木のしをればや むべ山風を 嵐といふらむ山風が吹くとすぐに秋の草木がしおれてしまう。だから山風のことを「荒らし(嵐)」と言うのだな。

021 素性法師

021素性法師今来むと いひしばかりにながつきの 有明の月を 待ち出でつるかな「すぐに行く」とあなたが言ったばかりに、九月の長い夜を待ち続けて、ついに明け方の月が出てきてしまった。